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イラストレーター・マンガ家の陽崎杜萌子(ヒザキトモコ)がマンガや電子書籍の話をしますよ

【「六橋条麗子の冒険」アップデート記念特別企画】おすすめミステリーベスト10『アガサ・クリスティ編・2』

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こんにちは。陽崎杜萌子(ヒザキトモコ@hizakitomoko)です。

前回に引き続き、【特別企画】おすすめミステリーベスト10『アガサ・クリスティ編』をお送りいたします。

hizakitomoko.hatenablog.com

今回は「ミス・マープル編」です。

 企画の主旨

今回の企画の主旨を簡単にご説明します。私の漫画「六橋条麗子の冒険」の主人公・麗子さんがおススメ作品をピックアップという企画になってますが、私と麗子さんの好みの傾向が違う(という体の)ため、私のおすすめ作品5作+麗子さんのおすすめ作品5作の合計10作品をご紹介します。私のおすすめ作品にはそれぞぞれ簡単なレビュー付きです。

タイトルはベスト10となっていますが、ミス・マープルの長編は12作品なので、今回のみ、私のおすすめ7作+麗子さんのおすすめ5作の合計12作品とさせていただきます。それぞれの好みの傾向を最初に記載してあるので参考にしてください。
作品リンクはすべてKindle版に繋がっています。

ネタバレは一切ありません。

六橋条麗子のマープル作品ベスト5

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まずは六橋条麗子さんのおすすめ5作品です。麗子さんのマープルものの好みの傾向は、ユニークで謎めいた事件です!変わった状況や舞台で起きる事件にミス・マープルが挑みます。

麗子さんからのコメントです。

f:id:retu77b152:20161222174824p:plain「昔風のホテルがそのまんまの雰囲気で残ってたり、書斎に死体があったり、新聞広告に殺人広告が載ってたり、魔術のように事件が起こったり、不可思議な事件がいっぱいよ!!あ!ミス・マープル最初の事件もちゃんと押さえておくといいわ!!!」

牧師館の殺人 (クリスティー文庫)

牧師館の殺人 (クリスティー文庫)

 

私(陽崎杜萌子)のマープル作品ベスト7

私のマープルもののおすすめ7作品をご紹介します。私の好みの傾向ですが、前回のポワロもの同様「人間関係・心理劇重視」は変わりませんが、マープルものについてはそれに加えて物語の楽しさとキャラクターの魅力を重視しました。これはマープルものはポワロに比べて、日常的な舞台が多く事件に至るまでの描写にページを割かれている傾向があるためです。参考にしていただければ幸いです。

『動く指』

動く指 (クリスティー文庫)

動く指 (クリスティー文庫)

 

 傷痍軍人のバートンが療養のために妹とその村に居を構えて間もなく、悪意と中傷に満ちた匿名の手紙が住民に無差別に届けられた。陰口、噂話、疑心暗鬼が村 全体を覆い、やがて名士の夫人が服毒自殺を遂げた。不気味な匿名の手紙の背後に隠された事件の真相とは? ミス・マープルが若い二人の探偵指南役を務め る。

 全体的に明るいトーンの作品です。都会から田舎に療養にやってきた男性の目線で書かれているのですが、田舎の生活が楽し気に描写されています。女性キャラクターがとにかく可愛いです。特に村に住んでいるミーガンのいう女の子が非常に魅力的です。また、主人公の妹が生意気な都会っ子でなかなかキュートです。登場人物がキャッチーで雰囲気も楽しく読み易い作品なので、普段ミステリーをあまり読まない方にもおススメです!

『ポケットにライ麦を』

 投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟 まれた絞殺死体で発見された事件があった。義憤に駆られたマープルが、犯人に鉄槌を下す! マザー・グースに材を取った中期の傑作

 クリスティが得意なマザーグースを題材にした作品です。マザーグースを題材に起こる殺人事件や、大きなお屋敷に住む裕福な一家と、英国ミステリらしい雰囲気が堪能できます。普段は温厚なミス・マープルが自分の育てたメイドの敵討ちのため村を出て、見知らぬ屋敷に乗り込んでいきます。探偵としてのミス・マープルの魅力がよくわかる一冊だと思います。

パディントン発4時50分』

 ロンドン発の列車の座席でふと目をさましたミセス・マギリカディは窓から見えた風景に、あっと驚いた。並んで走る別の列車の中で、まさに背中を見せた男が 女を締め殺すところだったのだ……鉄道当局も警察も本気にしなかったが、ミス・マープルだけは別だった! シリーズ代表作。

すれ違う列車の窓から殺人事件を目撃するという 物語の発端に引き込まれます。続いてミス・マープルが打つ手もとても面白いです。物語の進め方が非常に巧く作品に自然に入り込めます。この作品にもとても魅力的な女性キャラクターが登場して、ミス・マープルの相棒となって活躍します。そちらにも注目です!

『鏡は横にひび割れて』

舞台はすでに戦後で、ミス・マープルの住む、古風な英国の村であったセント・メアリ・ミードにも新興住宅が出来、すっかり様子が変わってしまっています。村人が新旧入り交じる中、有名女優がお屋敷に引っ越してきます。この辺りの描写がとても見事で、時代の移り変わりの空気感が伝わってくるようです。ストーリーは 詩から引用した印象的な美しいタイトルにふさわしい悲劇的な物語です。謎解きの果てに明かされる真実の意外性と哀しさは忘れられません。

カリブ海の秘密』

 転地療養のため美しく平穏な西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかにすぎていった。だが、まもなく彼女を相手に懐古談をしていた少佐が 死体となって発見される。以前から少佐は何かを憂いていたようなのだが……。義憤にかられた老嬢ミス・マープルが、事件の謎に挑む。

西インド諸島のリゾートホテルが舞台となっています。 ホテルに滞在する人々の描写はお手の物という感じで、自然とリゾートホテルに滞在しているような気分で物語に入っていけます。ミス・マープルはこの作品で滞在客のラフィールという大富豪の老人と出会いますが、この人物は「復讐の女神」でも重要な役割を果たす事になります。執筆時のクリスティも70代だったこともあってか、老人がイキイキとカッコ良く印象的に描かれている作品です。

『復讐の女神』

 前作「カリブ海の秘密」の続編です。といっても、事件自体は全く別のものです。前作で知り合ったラフィールさんの依頼によって、ミス・マープルが事件の調査に乗り出します。しかし、この事件の内容はミス・マープルにも読者にも明かされません。まずは事件自体を捜すという所からスタートする異色の物語です。事件の内容が明かされるにつれ、重苦しい雰囲気が漂い悲劇的な真相が明かされていきます。

『スリーピング・マーダー』

スリーピング・マーダー

スリーピング・マーダー

 

 若妻グエンダはヴィクトリア朝風の家で新生活を始めた。だが、奇妙なことに初めて見るはずの家の中に既視感を抱く。ある日、彼女は観劇中、芝居の終幕近く の台詞を聞いて突如失神した。彼女は家の中で殺人が行なわれた記憶をふいに思い出したというが……ミス・マープルが回想の中の殺人に挑む。

新妻のグエンダさんが新婚生活のために家を探す所から物語が始まります。この家探しのプロセスがなかなか楽しく、自分も英国で家探しをしているかのような感覚になります。この家探し・新居作りの楽しい雰囲気が、一転して驚怖に変わっていく様子が見事で引き込まれます。記憶を辿りながら過去の事件を掘り起こしていくというスタイルはクリスティの得意分野のため事件の謎解きもとても面白く読めると思います。

 以上、ミス・マープル編でした!

次回もあるとしたら、トミーとタペンス等の他の探偵やノンシリーズのベスト10を書きたいと思います!

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六橋条麗子の冒険・1

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